伝送制御方式

複数のノードが単一のケーブル上でデータ送受信を行うためには、伝送制御を行う必要があります。
伝送制御の方式として、以下があります。

CSMA/CD方式

CSMA/CD方式では、各ノードは以下の手順でデータ送信を行います。

  1. ケーブル上にデータが流れていないことを確認します。(CS: Carrier Sense)
  2. 確認できた場合はデータ送信して問題ないと判断し、データ送信を実行します。(MA: Multiple Access)
  3. 送信したデータの衝突を検出します。(CD: Collision Detection)
  4. もし衝突が検出された場合、ランダムな時間待った後に再度データ送信を実行します。
<<利点>>
  • 手順がシンプルで実装しやすいため、広く普及しています。
<<欠点>>
  • ネットワークが混んでくると再送を繰り返すため、スループットが急激に低下します。(回線使用率が30%程度がしきい値)
  • ケーブルが長すぎたり、リピータの段数が多すぎたりすると、衝突を検出できなくなります。

トークンリング方式

トークンリング方式では、ネットワーク上を巡回するトークン(=送信権)をつかまえたノードだけがデータを送信できます。

<<利点>>
  • データの衝突が起きないため、ネットワーク使用率が上がってもスループットが低下しません。
<<欠点>>
  • 通信管理が複雑なため、機器が高価です。
  • トークン制御の性質上、ネットワークに参加するノードの電源を落とせません。
  • 論理的なトポロジとして、必ずリング型トポロジを使わなければなりません。

アーリートークンリリース方式

トークンリング方式の進化版です。
アーリートークンリリース方式では、データ送信後一定時間経過すると、データ送信したノードがフリートークンをリリースします。トークンリリース方式とは異なり、データ送信の完了を待ちません。

<<利点>>
  • 複数のデータの送信が可能となり、ネットワークの使用率が向上します。

FDDI方式=アペンドトークン方式

アーリートークンリリース方式の進化版です。

  • 送信データにフリートークンを付加することで、ネットワーク上に必ずトークンが存在するようにします。
  • 通信リングを二重化することで、対障害性を高めています。
  • 伝送媒体に光媒体を用いるため、100Mbpsの高速伝送が可能です。
ノードの種類
  • DAS(Dual Attachment Station) … 二重構成のノードで、直接リングに接続できます。
  • SAS(Single Attachment Station) … 一重構成のノードで、コンセントレータを経由してリングに接続します。

TDMA

TDMAでは、ケーブルの物理的伝送容量を論理的なチャネルに分割し、各チャネルに対し一定時間ずつ送信権を割り当てます。なお、チャネルの管理のためにTDMA制御装置が必要です。

<<処理手順>>

以下、PC AがPC Bと通信したい場合の処理手順です。

  1. PC AはTDMA制御装置に対し、PC Bとの通信を要求します。
  2. TDMA制御装置はチャネルの空きを確認します。空きがある場合、PC AとPC Bにチャネル番号を通知します。
  3. PC AとPC Bは通知されたチャネル番号を使用して通信を行います。

ATM方式

ATM方式では、送信データを53オクテットのセルに分割して送信します。なお、53オクテットの内訳は、ヘッダ5オクテット、データ48オクテットです。

<<特徴>>
  • ヘッダ長が固定であるため、通信機器に専用ハードウェアを用いて効率化することができます。
  • IPパケットを送信する場合、IP層でのフラグメントを避けるためにAAL5という中間レイヤを使用します。